Devil may cay....

「・・・どこだ、ここは」

 家の近くに出る様になった悪霊を退治して、家に帰る途中だった・・・はずだ。

 それなのに、何故スラム街のようなところに出たのだろう?
 家の周りは雑木林だと言うのに。

「・・・それに、何だ?この異様な雰囲気は。大物のお出まし・・・ってわけでもなさそうだな」

 腰に吊るした刀を引き抜き、カタカタと操り人形のような動きをする異形を切り捨てる。
 
「・・・これは、私の霊気に引かれて来たのか、それとも肉喰いたさか」

 ぴくりとも動かなくなった異形を無表情に見下ろし、ぶつぶつと考えをまとめるためか呟いている。

「まったく・・・どうして私の周りは、こう煩い連中ばかりが集まってくるのやら・・・」

 背後に現れた無数の気配に振り返り、溜息を吐き出す。

 カタカタ・・・カタカタ・・・

 先ほど切り捨てた異形と同じものが、奇妙な音を立てながら迫る。

 だが、彼女は怯えた様子も、慌てた様子もなく手にした刀を構える。

「・・・面倒だが、放っておいて人が襲われるのも後味が悪い。よって、お前達を地獄に送り返してやろう」

 オレンジ色の月の明かりを弾いて、物騒な笑みを浮かべる。緩く結わいた長い髪がふわりと風に舞う。

「光栄に思えよ・・・私のような美しい者の手にかかって逝くんだから、なっ!」

 たんっ!

 軽い音を立てて異形の群れに突っ込んで行く。手前に迫った異形を切り伏せ、背後に回った奴も振り返り様に切り捨てる。

 その光景をビルの上から眺める者がいた。赤いコートを風に靡かせ、口元には笑みを浮かべ、真っ直ぐに異形と戦うものを見つめていた。

「はっはぁっ、俺くらいかと思ったぜ。悪魔相手に接近戦をする奴なんてなぁっ!」

 ----You're Crazy!

 光景を眺め、楽しそうに笑う。

「・・・っと、これじゃ依頼完了出来ねぇ。助っ人に行きますかねっ!」

ふわっ・・・

 今まで立っていたところから飛び降り、空中で銃を抜き放ち、刀で異形と戦っているものの周りに銃弾を撃ち込む。

 ダダダンッ!ダダダダンッ!!

「Hey!そんな奴らとのデートより、俺とデートしないか!?」
「イイオトコは、見飽きてるんでね!遠慮しておくっ!!」

 獰猛な笑顔のまま、目の前に迫る異形を薙ぎ払い、落下して来た男に答える。

 長い髪が動きに合わせて舞い、異形は指一本触れる事も叶わずに崩れ落ちて塵となる。

「ヒューッ、やるな」
「あんたもな」

 ダンッ!

 ザスッ!

 最後の二体を二人同時に止めを刺し、瓦礫の上に佇む。

「助かった。数が多かったから、少々難儀していたところだったんだ」
「難儀、ね・・・とてもそうは見えなかったぜ?」
「雑魚ばかりで、鬱陶しいと言えば分かってもらえるだろうか?」

 口元に浮かべた笑みはまだ物騒なもので、しかし、彼女の魅力を引き出すには十分なものでもある。

「・・・美人さん、名前は?」
「聞く前に自分から名乗ったらどうだ?色男」
「いいなぁ、あんた。何かスッゲー良い。ダンテだ、美人さん」
「そうか。私はと言う。だ」

 刀を鞘に納めている彼女を見やりながら、不思議そうに首を傾げるダンテ。

?・・・どれがファーストネームだ?」
「・・・・あぁ、がファーストネームだ。はファミリーネームだ」
「ジャパニーズか、あんた」
「一応、そう言う事になるな」

 さて、これからどうしたものだろうか?

 ダンテと名乗る得体の知れない男の存在を軽く無視しつつ、考え込む様にその細い顎に手を当てる。

 瓦礫の山をボゥッと見続ける彼女に、彼は声をかける。

「よぅ、どうしたんだ?考え込んで」
「いや、帰る手段がないんだ。ここは私がいた所からかなり離れてる」
「・・・今までどこにいたんだよ?」
「日本。まさか歩いているだけで飛ばされるとは思わなかった」

 柄を指先で撫で上げながら、遠い目をして呟く。その声はどこか途方に暮れている様にも聞こえる。

「・・・行く所がないなら、俺の所へ来るか?」
「・・・良いのか?」
「帰るにしても先立つもんもないんだろ?なら、俺の相棒としてハンターやんねぇか?あんたはいい腕をしてるしな」
「世話になる」

 即答で帰って来た答えに頷きを返し、を促して歩き出す。

 ここに世にも奇妙なコンビが結成されたのである。

end
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